●嗚呼、青春（極貧）の日々●

久々にバミってます。

（バミる＝バーミヤンで食事する）


昔は油っこいものを平気でたくさん食べられたのに、
今は小皿一品すら完食できません。
ごま団子も一個が限界(笑)
それに、もっと美味しかったような気がするんだけど…
と、微妙な顔でつぶやいたら、
目の前の友達が、


『そりゃ昔は極貧で、ナケナシの金をはたいて食べてたからだよ』

と一言。


あぁ…なるほど。


身体が老いたのももちろんあるけど、
お金に困らなくなり、美味しいものを追い続け、
舌が肥えてしまったせいかもしれません。





―思い出しました。



昔、上京してまだ間もない極貧の頃。
そう、あれは年の暮れ。
全国各地のマクドナルドで、
『ゆくトリくるトリ』という季節商品が販売されていた時のこと。

『ゆくトリくるトリ』とは、
一口サイズのからあげクンによく似たもので、
わりと量も入っていて、なんと価格は100円ポッキリ！

当時、所持金が常に1000円を切っていた私にとっては、
非常にありがたいキャンペーンでした。

ある日のこと。
バイトと養成所でのレッスンが終わり、
腹ヘリ状態で最寄り駅に帰り着いた時、
ふと、その『ゆくトリくるトリ』の看板旗が目に入りました。


ぁ .    .   .    １　 ０　 ０　 円    .   .   .     ！ ！ (;´Д｀)



迷いました。
すごく。



たかが100円、されど100円。
この100円で、明日何が買える？
お昼のパンが一個買える…おにぎりが一個買える…
頭の中はぐるぐると明日のことを考えましたが、
その時の私の腹の減りようは、それはもうすごい勢いで。
ぐるぐるぐるぐる考えながらも、
足はふらふらとマックに向かい、店の前まで来た時には
「ええい、ままよ！(;≧д≦)」という感じで勢いをつけて入店し、
ナケナシのお金でその『ゆくトリくるトリ』を購入したのです。

それを手にした時の幸福感といったら…！

この時、「小公女セーラ」の、
あの有名なパン屋のシーンを思い出したことを覚えています(笑)
でも、今誰かに分けてあげなさいと言われても
アタシ無理。絶対。みたいな。
やはり庶民の子は庶民です。





揚げたてだったのか、
とても暖かい『ゆくトリくるトリ』を手に、
そそくさと店を出ました。
家に着くまで到底我慢ができなかったので、
よしすぐ食べよう今食べよう！と、ガバッと一つ摘んだ

その時でした。

不意に後ろからドンッと押され、
踵の不安定な靴を履いていた私は、思わず前につんのめり、
なんと『ゆくトリくるトリ』と共に、
大転倒してしまったのです…(ちーん)


転倒する際、
目の前でぽーーーんと飛んでいく『ゆくトリくるトリ』。
私の記憶の中では、何故かここだけスローモーションで残っています。

相当ショックだったということですね(笑)

いえ、別にひったくりに遭ったとかじゃないんです。
その時は退勤ラッシュ時間の真っ只中で、
とにかく人通りがすごかったんですね。
そんな中、つまみ食いしながらチンタラ歩いてたら
そりゃぶつかられるわな、と。



恥ずかしかったです。
えぇそれはもう。


実際すごい格好で倒れてましたし。

年末の雑踏の中、道に這いつくばって
散らばった『ゆくトリくるトリ』を拾い集めるのは
なんだかすごく惨めでしたが、でも同時に、
なんかどっかのドラマのシーンみたいで可笑しくて(笑)
笑いを堪えながら、「あぁ、この気持ち、この感じ、覚えておこう」と、
そんな最中にそんなことを考えていたのも覚えています(笑)
こういう時でも、いちいち気持ちの確認作業をする癖。
役者ならではですね（苦笑）



でも、なんだかんだで、
そんな経験があったればこその今だよなぁ～、と。


目の前の料理を見ながら、
油っこいゲップを密かに飲み込みつつ、
友達と残りを平らげる樋口なのでした。



あ、ちなみに拾った『ゆくトリくるトリ』は、
一瞬迷いましたが、食べませんでした。
手元に残った３個を、大事に食べましたとさ。

てか『ゆくトリくるトリ』て何回書いてんだ（笑）



お　わ　り




今回長くなってしまったので、
拍手コメント御礼は次号待てプリーズ！